とある「学習サイト」のマネタイズ戦略

むかーし使っていたWEBサービスの提供者が「学習サイト」を公開されました。「教えられるのではなく、自ら学ぶを『当たり前』の社会にする」ということが売りとなっているのだけど、なんだかーと少し思ったので素直に書いておこうと思います。

Pixapopz / Pixabay
Pixapopz / Pixabay

WEB上でビデオを見ながら学習するタイプはものすごい数が増えてきています。無料で公開されているサイトもあって、初学者にはとても優しい時代になりました。教室に通うためには、時間を合わせて、移動して授業を受ける、そしてコストが高いという問題がありました。WEBサービスならばそれらが一気に解決します。唯一の欠点は、疑問に思ったことがその場で質問ができないという点でしょうか。

コスト的にも凄く安くなるWEBサービス。この「とある学習サイト」では一歩踏み込んで「ワークショップ疑似体験」をウリにしています。ワークショップというのは「すぐさま実践する」やり方です。座学だけではなく、学んだことを即実践することで理解度が一気に増していきます。

私が主催したセミナーでも何度かワークショップメインでやったことがありますが、理解度が高いだけではなく、満足度が凄く高くなるという特徴があります。単に聞いただけではなく、腑に落ちる感覚がより増すからだと分析しています。

ただ、ワークショップ型には欠点もあって、どうしても伝えられる情報量が減ります。インプットに使う時間を減らして、アウトプット(実践)の時間を増やすからです。満足度は高くなるけど、情報量が減るというトレードオフの関係に有るのがワークショップです。

さて、それをWEB上で疑似体験させるということなのですが…実際に講座を受けてみると「さぁ、あなたもやってみよう」とビデオが一時停止状態になって、終わったら再生を再開するというやり方でした。これって意味あるのかな…。というのが正直な感想。実際のワークショップの流れをビデオ撮影して、学習パートを再生して、実践パートはカット(一時停止)という流れ。事前の学習もすごく中途半端な説明なので、良く分からずに「ひとりで」実践しなければならないのです。

もやもやした感覚がとても残る学習でした。で、そんなビデオが数本あり、参加費は3万円ほどします。これで3万円かぁという思いが湧いてきます。ボリューム感が少なく、座学としても納得感がほとんど得られない内容。これで満足する人がいるのだろうか…と正直思いました。(もちろん、大満足な人もいるでしょうけどね)

で、この学習サイトでは講師を募集をしていて、学習コンテンツを大幅に増やす計画のようです。大いに結構。もっともっと充実させてほしいですね。ただ、今の段階で感じるのは…

講師募集で儲けているサービス

という感触が拭えないということです。本来の学習サイトならば生徒の学習費がメインの売上になるはずです。しかし、実際に微妙なボリュームのコンテンツが主催者によって作られている状態です。スタートしたばかりということもあり、学習者も少ないはずです。

それなのに講師募集サイトにおいて「生涯の仕事」と言っちゃうほど大風呂敷を広げた状態です。自分が作った学習教材が売れると利益が発生する仕組み。講師募集に際して理念と信念を熱く語っているのですが、実際の主催者コンテンツは一つ一つが物足りないの現時点では説得力がありません。

そして、講師となるための費用が入会金と月額費用で50万円ほどかかります。あれれ、もしかしてこれがメインの収入ではないでしょうか?「儲かりますから、まずはお支払いください」という空気感があります。

入会金と月額費用はそれ自体構いません。誰でも講師になれるようでは質の低下が心配です。「やるぞ」という決意を入会金という形で測り、その入会金を元手で「講師とはどう有るべきか」を学習してもらい、月額費用を払ってもらうことで継続的なコンテンツ提供とサポートするという形をとる。まったく問題がありません。

でもなんだか違和感を感じるんですよね。生徒も全然いない状態、それなのに「儲かります」という。最初から「講師の参加費で稼ぐ」という匂いがします。もし講師が撤退とした場合はどうなるのでしょうか?月額費用(数万円)が払えないなどで…公開されたコンテンツは残ったままになるのでしょうか…。(そのあたりは契約書に書かれているのでしょうけど)

学習サイトの収益化は実際のところなかなか難しいものです。個別対応するサービスならば高額になってもその価値はあります。学習ペースを個別に設定できること、疑問が即座に解決することの魅力があります。その点、ただビデオを見るだけというのは、そこらへんのセミナービデオと変わりません。ワークショップ型といってもワークショップ感を出すことは極めて困難です。

私もWEB講座を販売したことがありますが、伝えられるように作り込むこと、飽きないように工夫することにとても神経を使いました。何十時間分の講座を1万5千円という挑戦的な価格で提供してきました。そういう経験をしたからこそ判るのですが、WEB講座は簡単ではありません。

WEB学習サイトが増えることは嬉しいことですが、本来の目的と利点を忘れないでほしいなと感じます。